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「ねぇ一花、」
やたらスマホばっかり見ている一花が気になって、何気なく一花のスマホの画面を見る。
「いっちゃん、昨日はありがとう。すごく楽しかったよ。まさかいっちゃんがデートOKしてくれるとは———」
「! か、勝手に見ないでよ」
画面に表示されていたメッセージを読み上げると、一花はあわてて画面を隠す。その横顔はほんのり赤い。んん?
「え、何デートって。聞いてないんだけど」
「言おうと思ったけど、アンタが慧とばっかりいちゃついてたから話す暇なかったの」
「何でよ〜。電話でもメッセージでもしてくれたらよかったじゃん。一花のためならいつでも時間作るのに。言ってよ〜」
誰とデートしたのか知らないけど、話してもらえなかったことがちょっとショックでむくれていると、一花はそんな私を横目で見る。
「ごめんって。急に決まったしさ。まだ付き合ってるわけじゃないから」
「まだってことはこれから付き合う可能性あるってこと〜?」
「それはまだ分からないけど。一回デートしただけだし、どうなるか分からない」
「で? 誰? 私の知ってる人?」
「慧と同じ経済学部だから、たぶんのんは知らないと思う。バイト先が同じなの」
「経済か、じゃあ知らないかな。写真とかないの?」
「ない」
考える素振りもなく、即答されてしまってちょっと凹む。どんな人か知りたいのに〜。
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