3、どうしようもない女でごめんなさい

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「そうなんだ。高校の時からずっと今の彼女だけなんだね。いいなぁ〜。私、そういうの憧れるよ」  0時過ぎ。23時にあっきーが学校の課題があるとかで帰っていったから、今は私と磯川くんの二人きり。軽食とドリンクバーで繋ぎながらダラダラ話してたけど、なんとなく恋愛の話になって、磯川くんの彼女の話を聞いてたら羨ましくなっちゃった。 「私も磯川くんみたいな優しくて誠実な彼氏がほしいな」  一人の人に一途に思われるって、どんな感じなんだろう。私も磯川くんたちみたいな恋がしてみたかったな。 「のんちゃん可愛いし、彼氏いるんじゃないんの?」 「え〜いないいない。彼氏出来てもすぐフラれるもん。思ってたのと違ってたって。付き合うまでは百発百中なんだけどね? 私、付き合うの向いてないんだよ」 「男に見る目がないんだよ。こんなに可愛くて良い子なのにフるなんてありえない。俺だったらそんなことしないのに」  思いの外真剣な目で見つめられ、ふいに手を握られてドキっとしてしまった。  え、なになに、この雰囲気。  ダメダメ。また私の悪い癖が出ちゃう。  優しくされたら、すぐに心がふらついちゃうんだよね。  耐えて、私。いくらアイドル顔イケメンで優しくて話が合うからって、この人は彼女持ちなんだから。 「やだなぁ、彼女いるくせに何言ってんの」  そのまま飛び込みたい気持ちをぐっと堪え、作り笑いを浮かべて磯川くんを軽くはたく。えらいぞ、私。よく我慢した。  顔を見合わせて笑い合って、これまで通りの空気に戻ったけど、さりげなく磯川くんの手が私の肩に回される。ん? なにかな、この手は?  磯川くんの方は普通の顔して話を続けるので、あんまり騒ぎ立てるのもどうかと思ってそのままにしておくにしたけど、磯川くんが私を抱き寄せるたびに私の心がグラグラするのを自分でも感じていた。
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