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「なんかごめんね、慧が変なこと言ったみたいで。全然連絡とってもらって大丈夫だよ。私は気にしないから」
笑顔を作ると、みくちゃんはすごい勢いで首を横に振った。
「いえっ! もう心配かけるようなことはしません!」
「う、うん。ありがとう?」
みくちゃんから食い気味で言われ、少し口元を引きつらせてしまう。ここまで言われると、私がすっごい嫉妬深くて怖い先輩みたいで逆に申し訳なくなるなぁ。たぶんみくちゃん、普通にいい子だと思うし。
「でも本当に花音先輩に心配おかけするようなことは何もないんですよ。私、他に好きな人がいるんです」
そういえば、慧もみくちゃんには他に好きな人がいるとかなんとか言ってたよね。あれ本当だったんだ。
「そうなんだ?」
「はい、一年生の雅史くんって分かりますか? ドラムやってる」
「あ〜、うん分かるよ。え、まさかの雅史くんが好きなの? また難しそうなとこいくね」
雅史くんを思い浮かべて眉を寄せると、みくちゃんは「ですよね」と照れ笑いで頷く。
慧とは仲良いみたいだけど、雅史くんが女の子と話してるとこほとんどみたことないし、私も一言二言しか話したことない。だから慧に相談してたのかな。
「慧くんにはもう連絡しないです。だからというわけじゃないですが……。先輩さえ良かったら、たまに相談に乗ってもらえないですか?」
「え、と、私?」
「はい! 花音先輩可愛いしモテるし恋愛得意そうですし、良いアドバイスもらえそうかなって」
う〜ん、恋愛得意ではないんだけどなぁ。
正直狙った男を落とせなかったことはないけど、でもそのあとすぐにフラれてばっかりだし、むしろ苦手なのかも。
素直に頷けなかったけど、キラキラと瞳を輝かせるみくちゃんを無下にも出来ず、愛想笑いを浮かべる。
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