14、その人、私の彼氏です

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「とにかく俺は心配なんです」 「分かるけど。お揃いの指輪なんてつけてたら、これみよがしに私たち付き合ってますアピールみたいにならない?」 「まあ……。そうなりますよね」  諦めたようにそう言った慧は握っていた私の手を離し、遠くの方を見る。  がっかりしているのが隠しきれてない慧がなんだか可愛く感じて、自然と口元に笑みが浮かぶ。  慧やみくちゃんを見ていたら、そこまで頑なに隠す必要もないかなっていう気もしてきた。いつまでも先のことばかり心配してても、肝心の今を楽しめなかったら意味ないもんね。 「とりあえず見に行ってみる?」 「いいの?」 「うん、つけるか分からないけど」 「それでもいいです。とりあえず見に行く気にはなってくれたんですね?」 「そうだね。ね、この後って何か予定ある? もし何もなかったら、一緒に回らない?」 「もし誰かに見られたら、何か言われるかもしれないけど」 「大丈夫」  にこっと笑いかけると、慧はじっと私の顔を見て、それから照れたように笑う。 「じゃあ行きますか」 「手は繋がないよ?」  さっと私の手をとった慧の手をやんわりと外す。一緒に回るとは行ったけど、ここで手を繋ぐのはさすがにね。 「いこっ」  手を外すと目で不満を訴えてくる慧の背を押し、屋台が出ている方へと歩いていく。
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