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「花音先輩も俺のために色々してくれるじゃないですか。お願いしたらほとんど聞いてくれるし、手は繋がないって言ってたけど結局繋いでくれてる」
なるほど。慧が何でもしてくれるのもあって、私は迷惑しかかけてないような気がしてたけど、そう言われてみると確かにそうかもしれない。
行ってほしくないって言われたから、男の子と遊びに行ったり飲み会行ったりするのもやめたし、みんなに内緒で付き合いたいなって思ってたけど結局バレてもおかしくないような行動してるし。考えてみると、その場のノリで生きてた今までの私じゃ考えられないくらいに慧にはずいぶん譲歩してるのかも。
でも別に強制されてるわけじゃなくて、そういうのって自然とそうしたいなって思うんだよね。
「えっちしたいって言ったら、すぐにさせてくれるし?」
これは私がしたいのもあるけど、慧から求められて断ったことも一回もない気がする。生理の時だって、お願いされたら口とか手で出してあげてるし。
色々頭の中で考えているうちに、思わずそんな言葉が口をついて出ると、慧のことを戸惑わせてしまったみたい。
「……それはありがたいんですけど。でも嫌な時あったらちゃんと断ってください」
「嫌だったら断るけど、慧がしたい時はたいてい私もしたい時だから大丈夫だよ」
ね?と笑いかけると、慧は視線を泳がす。
「こういう話大学でするのやめませんか」
「そういう気分になっちゃう?」
「うん」
「この後家くる?」
「行く」
ぴったりと身体を寄せると、私と視線を合わせないようにしながらも欲望に忠実な慧が可愛くて、自然と笑顔になる。慧のそういうとこ、すごく好きだよ。
慧がいっぱい愛してくれるから、ここ最近は恩田先輩のことを思い出すことも少なくなってきたし、今すごく幸せだなって思う。
なんかね、すごく、すごく慧のこと好きだなって。この幸せがずっと続けばいいなって。
そう、願ってもいいのかな———。
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