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土日二日間使った学祭も無事に終わり、その打ち上げで学生会館を借りて、お酒やらジュースやらお菓子や食べ物を持ち込んでみんなで楽しんでる、のはいいんだけど。
見たくなくても視界の片隅に映る光景にさっきからイライラしていた。
「いいの?あれ」
「知らない。嫌だったら自分で断るでしょ」
大部屋の壁際にいる私たちから少し離れたところに、三年生のまりか先輩に迫られている慧がいた。目線だけでそれを訴えてくる一花に投げやりに答え、ビールの缶に口をつける。
「まりか先輩って酔うとキス魔になるよね。一年生の時に私もキスされた」
「何それ詳しく」
「今は私の話じゃなくて、あれをどうにかした方がいいと思うよ。本当にキスされちゃうかも」
「したらいいんじゃないの? 慧も嬉しそうにしてるし」
「アンタ酔ってるでしょ。どう見ても困ってるように見えるけど。よく見なよ」
ガブガブビールを飲んでいると、一花からそれを取り上げられた。
「見たくないのっ」
口を尖らせて一花からビールを取り返し、再びそれを口に含む。
「も〜面倒くさいな〜。慧と付き合ってるって言っちゃえばいいのに」
本気で面倒くさそうにしている一花に反論しようとしたとき、いきなり後ろから誰かにホールドされ、びっくりして後ろを振り返る。
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