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15、幸せな未来を夢見てもいい?
学祭から二週間ほど経った平日の晴れた日。
珍しく二人ともバイトも予定もなかったので、慧が車を出してくれて、一時間くらいかけて海に来た。
10月の夕方の海は、今日着てきたロング丈のレースのワンピースとカーディガンでちょうど良いぐらいの過ごしやすい気温だったけど、平日だからか季節外れだからかほとんど人がいない。
近くに誰もいない砂浜を一緒に歩いているうちに自然と距離が近くなり、慧と手を繋ぐ。
学祭の打ち上げをきっかけにみんなに交際がバレて、まゆみとか他の友だちからは水くさいだの何だの散々言われたし、慧の方も色々言われたみたいだけど、何だかんだみんな生温かく見守ってくれている。慧とも順調で、全てが上手くいっていた。
「ここ初めてきた」
砂浜を歩きながら慧の顔を見上げると、慧は少し意外そうな顔をする。
「今までの彼氏と来たことなかったんですか?」
「ここは来たことないなぁ。あんまりまともなデートってしたことないかも」
「どんな付き合いしてたんですか……」
何気なく聞かれたことに普通に答えると、希少動物か珍種でも見るかのような顔で見られてしまった。そんなに変? 長続きしたことないから、時間合わせて改まって出かける前にいつも終わるんだよね。
「カラオケか飲み行くか、後は家でえっちしたり?」
「聞かなければ良かった」
「何でよ〜。自分から聞いてきたくせにそんな顔しないでよ」
聞かれたから答えただけなのに、顔をしかめられるって理不尽だよね。
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