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「それで、何で別れたの?」
「前も言ったような気がするけど、他に好きな人が出来たってフラれたんです。受験でお互いピリピリしてたのもあるけど、付き合った後も友達みたいな雰囲気だったので、卒業する少し前からなんとなく上手くいってなかったし」
「そうなんだ」
付き合った後も友達みたいな雰囲気というのが私にはよく分からないけど。それってどんな感じなんだろ? でも二年、二年かぁ。自分から聞いといてなんだけど、やっぱり元カノの話なんて聞かない方がよかったかも。
「花音先輩も高校の時彼氏いましたよね?」
「一人いたけど。でも三ヶ月くらいで別れたなぁ」
「その彼氏が初めての人ですか」
「ううん、高校の時の彼氏とはキスまでしかしてない。私も初体験は大学に入ってからだったよ」
そんなことを言いながら慧の顔を見ると、慧は少し驚いたような顔をしていた。
「意外?」
「少し」
「知りたい? 私の初めての人」
意味ありげに笑うと、慧は視線を彷徨わせた後でうつむく。
「気になるけど、聞いたら忘れられなくなりそうなのでやめておきます」
「かしこい。過去の人の話なんて聞かない方がいいよ。私も慧の元カノの話聞いて、今後悔してるもん」
「だから言ったのに」
隣に座っている慧との距離を詰め、慧の身体にもたれかかると、私の腰に慧の腕が回ってきた。
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