15、幸せな未来を夢見てもいい?

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「それって勉強だけ? 単位もらえるの?」 「単位ももらえますけど、向こうの企業の見学も兼ねてます。ほら、うちの大学ってメーカー系にパイプあるじゃないですか」 「らしいね。あれ、もしかして慧メーカー狙ってるの?」 「一応。推薦もらえたらいいなと思ってます」  そう断言した慧に、少し複雑な気持ちになる。  普通に就活する人も多いけど、うちの大学には推薦枠みたいなのもいくつかあって、推薦をもらえるとだいぶ就活が楽になるらしい、と先輩たちから聞いたことがある。  体育会系の部活を真面目にがんばったり、ゼミに早いうちから入って教授に気に入ってもらったり、課外活動やボランティアに積極的に参加したり。推薦もらう方法はいくつかあるけど、大手入りたい人もやっぱり多いし、推薦もらうために一二年生のうちからがんばってる人もけっこういる。  メーカーも人気だけど、ただうちが推薦してるメーカー系に入社すると、かなり高い確率でニ、三年目に海外飛ばされるって噂があるんだよね。そっかぁ。慧、メーカー狙ってたんだ。ゼミ入ったり、留学までするってことはかなり本気ってことだよね。 「まだ一年生なのにちゃんと将来のこと考えててえらいね」 「花音先輩は考えてないんですか?」 「考えないといけないんだけどね〜。特にやりたいこともないし、どうしようかなぁって感じ」  うちの大学からだと、教職とって先生になったり、銀行や自動車メーカーの下請けいったりする人も多いけど、どう考えても私は先生ってタイプじゃないし、銀行や自動車メーカーもピンとこない。一応ゼミも入ってるけど、他の大手メーカー系にもあんまり興味ないし。  来年は三年生だし、ぼちぼち学生課に相談いったりし始めてるけど、こんなことで就職できるのか不安になってくる。
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