15、幸せな未来を夢見てもいい?

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「でも私英語全然しゃべれないし……。先のこと過ぎて、今はそこまで考えられない」  どうにか言葉を絞り出すと、慧は一瞬だけうつむいてから視線をあげた。 「……そうですよね。俺も気が変わるかもしれないし、他にやりたいことが見つかるかもしれない。どうなるか分からないですよね」 「そうだよね。まずは私は自分の就職のことを考えないと。どっちにしても、慧よりも私の方が早く卒業するんだし」 「そうですね」  そんなことを話しているうちに夕日もすっかり沈み、辺りも暗くなってきたけど、なんとなく私たちはしばらくその場から動けなかった。  海外かぁ。ただ一ヶ月留学するだけだって思ってたら話が思わぬ方向に行っちゃったけど、慧はちゃんと考えてるってことだよね。  私が一年生の時なんて何も考えてなかったし、遊び歩いてただけだったから、慧の話聞いてて焦ってきた。  私も就職のことちゃんと考えないといけないし、慧の夢も応援したいけど離れると思うと複雑だし……。  考えることが多すぎて、頭がどうにかなりそう。
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