15、幸せな未来を夢見てもいい?

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 12月24日、慧と初めて一緒に迎えるクリスマス。  大学は冬休みに入って授業は休みになったけど、その代わりにバイトの時間は増えた。  それでもクリスマスイブの今日は午後3時でバイトを上がらせてもらい、彼氏の家でクリスマス用のディナーを作っている。店長からはこの忙しい時期に早上がりなんてって散々ブツブツ言われたけど、クリスマスイブくらい彼氏と過ごさせてほしい。  慧がバイトから帰ってくるまでの間に全部終わらせようと思ったんだけど、全然終わらないどうしよう。タブレットで作り方調べながらやってるけど、このチキン生焼けじゃない? ローストビーフもまだ出来てないし、何で私こんなの作ろうと思ったんだろ。  そんなことをやってる間に時間が過ぎていき、五時過ぎに慧が帰ってきた。 「ごめん慧、まだ全然終わってないの。あと一時間待って」 「いいけど、それ一時間で終わります?」  帰ってきた慧に半泣きで泣きつくと、慧は洗い物だけが溜まったキッチンをチラリと見る。 「たぶん終わらない」 「だから、外に食べに行こうって言ったのに。何で全く出来てないのに、洗い物だけ増やせるんですか」 「だって〜。作り方見てもよく分からなくて」  リビングに荷物を置きにいった慧とキッチンで会話をしていたら、さらに恐ろしいことを思い出してしまった。   「どうしよう慧。クリスマスケーキ予約してたことすっかり忘れてた。早く行かないとお店しまっちゃう」 「とりにいってきますよ」 「他に買いたいものもあるから私が行く。……あ、でもごはんどうしよ」 「俺が作っとこうか? 作り方これ?」  コートを着てバタバタと出かける準備をしていると、慧はそんな私を横目で見ながら、キッチンに置いてあったタブレットを指差す。 「ほんと? ありがと〜。でもなんか悪いような」 「なんとなくこうなるって分かってました。早く行かないと店閉まりますよ」 「本当に申し訳ないです……。そうだ、車の鍵貸してくれる? 車で行かないと間に合わない」 「は? 車で行くの? 大丈夫ですか?」 「大丈夫だよ。実家帰った時は何回も運転してたし」  ペーパードライバーの私に車を貸すのが不安だったのか、慧は車の鍵を貸すのを渋ってたけど、最終的には鍵を貸してくれた。 「最悪ぶつけてもいいけど、事故るなよ」 「うんっ、ありがとう」  慧から手渡された鍵を受け取り、急いで玄関から出て行く。
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