15、幸せな未来を夢見てもいい?

14/19

176人が本棚に入れています
本棚に追加
/226ページ
「あれから就職のこと考えてたんだけどね、出来れば出版社に入りたいなって今は思ってるんだ」 「出版社ですか」 「うん、ゼミの先輩が出版社のインターンやってみない?って紹介してくれてね。色々話聞いてたら面白そうだし、文章書いたり読んだりするのは嫌いじゃないし、良さそうだなって」  学部も文学部だし、ゼミだって社会系で社会のことや文学のことを勉強してきた。先輩が紹介してくれたとこは女性向けのソフトなとこだから、あんまりゼミの内容はいかせなさそうだけども。それでも、すっごくありがたい。 「今のバイトやめるんですか?」 「短期インターンだし、バイトやめちゃうと生活出来なくなっちゃうからやめないけど。でもなるべくインターンの方を優先しようかなって思ってる」 「いいじゃないですか。インターン行くと、多少は有利になるんですよね?」  相槌を入れながら話を聞いてくれていた慧に、うんと頷く。 「多少はね。そこに就職出来るかは分からないけど、とりあえず目指してみるつもり。でね、最終的には独立して、フリーライターになりたいんだ」 「フリーライター?」 「うん。昔見た海外ドラマの主人公がフリーライターで、世界を旅しながら好きな時に仕事してたのに憧れがあったんだ」 「そういう働き方もありですね」  現実はそんなに甘くはないんだろうけど、まあ一応それを目指す方向ってことで。考えてることを慧に話すと、慧も応援してくれるみたいな感じになったけど、本題はここから。  これから私が言うことに、慧はどんな反応するかな。少し緊張してしまい、ひとつ息を吸ってから口を開く。
/226ページ

最初のコメントを投稿しよう!

176人が本棚に入れています
本棚に追加