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「あとね、フリーライターならどこでも出来る仕事だし、もし慧がどっか行くってなった時にもついていけるかなって。……って言ったら重い?」
慧の顔色を伺うようにそう言うと、慧は一瞬目を見開いて、すぐに私の両腕を掴んだ。
「重くない。嬉しいです。
この前はまだ考えられないって言ったけど、考えてくれたんですね」
「う、うん。一応考えてみたんだけど。でも気が変わるかもしれないし、そこに就職出来るかも分からないし、フリーになれるかどうか分からないから、あんまり期待しないでね」
「そんなの俺だってそうですよ。今はメーカー行きたいと思ってるけど、他にやりたいことが出来るかもしれないし、希望のとこに就職出来ないかもしれない。まだ先のことだからどうなるか分からないけど、でも花音先輩が俺との未来を考えてくれただけで嬉しい」
少し興奮したように早口で話した慧に、そっかと頷く。すごく曖昧な感じのプランなのに、こんなに喜んでくれると私まで嬉しくなる。
じっと慧を見てると、ふいに抱き寄せられて、自然と唇が重なった。そのままベッドに押し倒されてシーツに沈められると、私の上に慧が覆い被さってくる。
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