16、忘れたはずなのに

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16、忘れたはずなのに

「もう無理だ。別れよう」 「……っ。嫌だよ、別れたくない。悪いところがあったら直すから。だから、そんなこと言わないで」  こんなに好きなのに、別れるなんて絶対に嫌。ただただ悲しくて辛くて、目の前にいる恩田先輩にすがりつく。 「今さらそんなこと言われても無理だよ。俺は関係を修復するために努力してきたつもりだけど、拒絶したのは花音の方だ」 「拒絶なんかしてないっ。ただどうしたらいいのか分からなかったの。お願い、もう一回考え直して。今までのことは謝る。ねえっ、がんばるから、だから……っ。 私は今でも恩田先輩のことが好きだよ。先輩はもう私のこと好きじゃないの?」 「もう無理なんだ」  別れたくないと必死で訴えても、恩田先輩の意思は固く、何度も同じことを繰り返す。    私たち、本当にこれで終わりなの?  あんなに好きだって言ってくれたのに。  まだこんなにも先輩のことが好きなのに。  そんなの、嫌だよ……っ!
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