176人が本棚に入れています
本棚に追加
/226ページ
16、忘れたはずなのに
「もう無理だ。別れよう」
「……っ。嫌だよ、別れたくない。悪いところがあったら直すから。だから、そんなこと言わないで」
こんなに好きなのに、別れるなんて絶対に嫌。ただただ悲しくて辛くて、目の前にいる恩田先輩にすがりつく。
「今さらそんなこと言われても無理だよ。俺は関係を修復するために努力してきたつもりだけど、拒絶したのは花音の方だ」
「拒絶なんかしてないっ。ただどうしたらいいのか分からなかったの。お願い、もう一回考え直して。今までのことは謝る。ねえっ、がんばるから、だから……っ。
私は今でも恩田先輩のことが好きだよ。先輩はもう私のこと好きじゃないの?」
「もう無理なんだ」
別れたくないと必死で訴えても、恩田先輩の意思は固く、何度も同じことを繰り返す。
私たち、本当にこれで終わりなの?
あんなに好きだって言ってくれたのに。
まだこんなにも先輩のことが好きなのに。
そんなの、嫌だよ……っ!
最初のコメントを投稿しよう!