16、忘れたはずなのに

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「……あれ? 夢……?」  さっきまで恩田先輩といたはずなのに、気がついたらベッドの上にいた。全身にびっしょりと汗をかき、目には涙がにじんでいる。  さっきのは夢? 夢にしてはやけにリアルな———、今、何月? 私、恩田先輩といつ別れた?  やけにリアルな夢のせいで日付も状況も分からなくなり、心細くなって枕元に置いてあったスマホに手を伸ばす。  スマホをタップすると、「1月10日 05:15」と表示されている。今日の予定の通知も出ていて、そこには「OBOG説明会」と入っていた。  説明会……、そっか。私、今二年生なんだよね。恩田先輩と別れてからはもう一年以上経ってて、それで今は慧と付き合ってて……本当に付き合ってるよね?  だんだん頭がはっきりしてきたけど、変な夢のせいかすごく心細くて不安が募っていく。  目に浮かんでいる涙を手で拭ってから、慧に電話をかける。慧の声が聞きたい……。
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