16、忘れたはずなのに

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 結局その後は家を出るまで眠れもしないし何も手につかないまま、無駄な時間を過ごしてしまった。8時過ぎになってようやくメイクを始め、スーツに着替えて大学に向かう。  二、三年生の希望者のみだけど、今日は大学を卒業したOB・OGの先輩たちが来てくれて、就職の話とか卒業してからの話を教えてもらえる説明会に参加することになっている。  説明会の会場に向かうと、たくさんの椅子が並べられていて、そのうちのひとつに私と同じようにスーツを着ている一花を見つけ、その隣に座る。 「おはよ〜一花」 「おはよ。て、何か顔色悪くない?」  説明会にあんまり派手なのもどうかと思い、チーク控えめにしてきたのがよくなかったのかな。顔を合わせるなりそんなことを言われ、ただ曖昧な笑みを浮かべるしか出来ない。 「それがね、聞いてよ。変な夢見ちゃって」 「どんな?」 「あのね、」  一花に例の夢を話そうとしたその時、会場に入ってきた人を見て固まってしまった。  あれは、予知夢だったのかな……。
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