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藤田くんに絡まれて困っていたら、ちょうどその時従業員用出入り口から出てきたあっきーと磯川くんと目が合う。
「やめなよ、のんちゃん困ってる」
目だけで助けを求めると、すぐに状況を察してくれた磯川くんが私の手を捉えている藤田くんの手を掴み、さっと離してくれた。
「普通に話してただけだよ」
「そんな風には見えなかったよ」
「まあまあまあまあ。藤田くん、俺とメシ行こっか」
「行かな———」
「いいからいいから。遠慮するなって。俺が女の子の落とし方じっくりレクチャーしてやるよ。女の子と付き合ったことないのにいきなり名人狙うなんて、命知らずにも程があるからな?」
気まずい雰囲気だった私たちの間にあっきーが割って入り、嫌がっている藤田くんの肩に手を回して強引に連れて行ってしまう。
「大丈夫かな? あれ」
「あっきーにまかせとけば大丈夫だよ。ああ見えていいやつだから」
「だね」
「のんちゃんこそ大丈夫? 何があったのか知らないけど、さっきみたいなことよくあるの?」
「よくあるわけではないけど、藤田くんとは色々あって。私もいけないとこあったのかも」
「事情を知らないから何とも言えないけど、嫌がってる子に無理強いするなんてダメだと思うよ。大したことは出来ないと思うけど、何かあったら言ってね」
「ありがと、優しいね。浮気男なのに」
「きついね」
さらっと毒を吐くと磯川くんは困ったように笑い、彼と目が合った私はペロリと舌を出す。
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