18、まだ恋人でいたい

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「慧のことがすごく好きだし、今でも好き。慧だって私のことを好きでいてくれてあんなに愛してくれたのに、恩田先輩に一回会ったからって簡単に揺り戻された自分がすごく情けないよ。慧に恋をして、ようやく前に進めるって思ったのに、結局また同じところに戻ってきちゃった」  家に来てくれた一花と並んでベッドのふちにもたれかかりながら、さっきの飲み会のことも含めて現状をざっくりと報告する。  いつもならゴミだのクズだの罵倒から始まるのに、私の話を聞き終わっても一花から何の反応もなかったことを不思議に思い、一花の顔を覗き込む。 「あの、一花さん? どうしたの? 呆れ過ぎて声も出なくなっちゃった?」  ヘラリと笑みを浮かべると、難しい表情をした一花と目が合う。 「考えてたの。恩田先輩と別れてボロボロだったのんを知ってるから、別れてしばらく経った後にのんが恩田先輩と連絡取りたいって言うのを私は全力で止めてきたでしょ」 「だね」 「今さらなんだけど、それは間違いだったのかなって。のんがそこまで恩田先輩を忘れられないのなら、私は止めるべきじゃなかったのかもしれないね」 「そんなことないよ。止めてくれて感謝してる。きっと連絡取ったって、お互い傷ついてただけだと思うし」  神妙な顔をしている一花に小さく首を横に振って、そうじゃないよと否定する。
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