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一花が口を開きかけたとき、ちょうど一花のスマホの通知音が鳴る。一花は一瞬それを気にする素振りを見せたけど、すぐにスマホを置く。
「返信しないの?」
「後でするから大丈夫。今はのんの方が大事」
「一刻一秒争ってるわけじゃないし、返信してあげてよ。彼氏からかもしれないし」
「そう? じゃあそうさせてもらおうかな」
渋っていた一花に返信を促すと、ようやくスマホを取って文字を打ち始める。
「彼氏?」
「うん、今何してるって。大した用事なさそうだったから、今のんと話してるからまた後でねって返信しといた」
「順調そうで良かった」
「順調……、だね」
少し照れながらも幸せそうに笑った一花を見ていると、私まで笑顔になる。
年明け辺りから、一花は前々からいい感じだったバイト先の人と付き合い始めた。私も一回会わせてもらったけど、すごく優しくていい人そうで、この人なら一花を任せても大丈夫だなって安心したんだ。
一花にはいつもいっぱい助けてもらってるし、松尾先輩のこともあったから、一花には本当に幸せになってほしい。
「一花が幸せだと私も嬉しい」
「それは私もだよ。のんには幸せになってほしいなって思ってる」
真剣な表情でそう言われ、うんと頷く。
結局また慧ともこんな状態になっちゃって、一花にはたくさん心配かけてるよね……。
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