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「変なこと聞くけど、一花は松尾先輩のことを思い出したりしない? 会いたくなったりとか」
「思い出すことはたまにあるけど、会いたくなったりはないかな。私は松尾先輩の嫌なとこもたくさん見てきたし、最後の方は言い争いばっかりだったからね。
のんはそうじゃないでしょ? 恩田先輩のことが嫌いになって別れたわけじゃないし、一番好きな時に別れちゃったから、余計に引きずってるのかも。恩田先輩は私から見ても良い彼氏だったし」
「そう、だよね。恩田先輩はあんなに良くしてくれたのに、私がもう少し大人だったら違ったのかなってずっと後悔してる」
「のんだけが悪かったわけじゃないよ。のんも悪いとこあったけど、恩田先輩だって悪いとこあったと思うし、タイミングが悪かったんだよ」
「お互いのことが大好きでも、タイミングが悪かったり、ちょっとした気の迷いで修復不可能になっちゃうんだよね。なんかもう、それなら恋なんて最初からしたくなかったって思っちゃう」
磯川くんと彼女さんも、私と恩田先輩も、そして私と慧も。どれだけお互いのことが大好きで、ずっと一緒にいたいと思ってても、ちょっとしたことが原因で簡単にダメになって、修復不可能になってしまう。
そんな不確かなものにすがって、メンタルボロボロになるくらいなら、恋なんてしたくなかった。
ベッドにもたれかかって天井を見上げていたけど、ふと隣の一花のことが気になって一花を見る。
「ごめん、付き合いたての一花に言う事じゃなかったね。さっきの今で白々しいかもしれないけど、一花と彼氏さんのことはすっごく応援してるし、続いてほしいなって思ってる」
「分かってるから大丈夫」
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