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19、最初からそんなつもりなかったと思うよ
二月最後の日曜日のお昼過ぎ。
極度の緊張とストレスで血色の悪い肌色を誤魔化すためにチークを濃いめにつける。それからピンク色のリップグロスを塗って、ピンク色のふわふわニットにチェックのスカートを合わせ、冬仕様のモコモコバッグを肩にかけてから家を出た。
今日は、今恩田先輩が住んでいるところと私の住んでいるところの中間地点で恩田先輩に会うことになっていた。
電車に乗ると特にやることもなくなり、窓を見ながら今までのことを思い出す。
———約二年前。大学に入学したばかりの私は、語学クラスで同じだった人とすぐに付き合い始め、初めて男の人に抱かれた。
彼がすごく好きだったというよりも、大学に入学してソワソワしていた私は色々なことに興味があって、知らないことや初めてのことを早く経験してみたくて、それで身体を許したのかもしれない。今思うと、もう少し初めてを大事にしたら良かったと思うけど、もう過ぎてしまったことだからそれは仕方ないとして。
結局その彼とは上手くいかなくて、初めてのセックスを経験してから一月も経たないうちに「他に好きな人が出来た」とフラれちゃったんだよね。
落ち込む私の話を聞いてくれて、気晴らしにドライブやご飯に連れて行ってくれたのが恩田先輩だった。
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