19、最初からそんなつもりなかったと思うよ

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 改札口を出ると、ダークグリーンのセーターに黒いパンツをはいた恩田先輩が立っていて、私を見つけると笑顔で手を振ってくれた。 「花音!」 「恩田先輩」 「なんかその先輩って懐かしい感じ。もう先輩なんて呼ばれることないから」 「あ、そっか。恩田先生って呼んだ方がいいのかな?」 「それはやめて」  いたずらっぽく笑うと、恩田先輩は照れたように笑う。  恩田先輩が普通に接してくれるからかな。思ったより普通に話せてることにホッとしたけど、緊張でどうにかなりそう。 「これからどうする? お腹空いてる?」 「お昼は食べてきたから大丈夫」 「じゃあカフェでも行きますか」  歩き出した恩田先輩の隣に並んで、一緒にカフェを探す。  本当は食欲が全く湧かなくてお昼食べてないんだけど。なんなら今も緊張で吐きそうだし。  内心そんなことを思いながらも駅から少し離れたところにいい感じのカフェを見つけたので、そこに入ることになった。
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