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慧の背中に手を回して微笑むと、慧は泣きそうな顔で私を見つめる。
「もうこの手に抱けないかと思った。
花音先輩が元彼の方にいくんじゃないかって心配で、おかしくなりそうでした」
強く私を抱きしめてきた慧に胸がいっぱいになって、また涙が溢れる。今日一日だけで泣きすぎて目が溶けちゃいそう。
「ごめんね……っ。たくさん傷つけて心配かけてごめんなさい。本当にごめん。大好きだよ、慧」
「そんなに謝らないで。戻ってきてくれたから、もういいよ」
「ダメだよ、そんなの。慧に償いたいのに、どうやって償ったらいいのか分からないっ」
「そう思ってくれてるなら、もう二度と俺から離れないって約束してください」
「うん……っ、約束するっ。もう絶対に慧から離れない。ずっと一緒にいるっ」
何て言って謝ればいいのか分からなくて、ただ「ごめんね」と「大好き」を繰り返すことしか出来ない。子どもみたいに甘ったれた話し方でぎゅうぎゅう慧に抱きつくと、慧も優しく抱きしめてくれる。
こんなんじゃ今まで私がしてきたことの償いにならないような気がするけど、慧がそれを望んでくれるなら精一杯応えたい。私だって、ずっと慧と一緒にいたいから。
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