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「知ってたから、今日来てくれたんじゃないですか?」
「ん〜と、」
ごめんなさい、忘れてました。
笑ってごまかすと、盛大なため息をつかれる。
「いつ行くって、俺は言いましたよね。
そうですか、花音先輩が俺のことをどう思ってるのかがよく分かりました。
半年記念日もバレンタインも忘れてた上に、俺がいつカナダに行くのかさえ忘れてたんですね」
「あ〜ん、そんなこと言わないで〜。
考えることが多すぎてうっかりしちゃってただけで、慧のことどうでもいいと思ってたわけじゃないの」
ムッとしてそっぽを向いた慧の腕を掴んで揺さぶって顔を覗き込むけど、全然目を合わせてくれない。当たり前だけど、完全に機嫌を損ねちゃったみたい。
「どうせ元彼のことばっかり考えてたんだろ」
「そんなことないよ? 慧のこと考えてたよ。
たしかに元彼のことも考えてたけど、でもそれは好きとかそういうのじゃなかったっていうか、とにかく私が好きなのは慧だけだから」
「機嫌とってもらわなくて大丈夫ですよ」
「そんなに怒らないで〜。でもそっかぁ。せっかく慧と戻れたのに、明日から行っちゃうんだね。一ヶ月も会えないなんて寂しいなぁ」
「うわ。一ヶ月以上も俺のことほったらかしといて、よくそんなこと言えるよな」
「慧〜ごめんってば〜。本当に寂しいと思ってるよ? 本当だもん……」
慧の膝に乗り上げて訴えると、ようやく目を合わせてくれた。
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