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「分かりました、許します」
「ほんとっ!?」
瞳をキラキラ輝かせると、ジト目で見られてしまう。
「その代わりお願いがあります」
「何? 何でも言って?」
「明日の朝5時には家出るんですけど、飛行機で寝るつもりです」
「? うん」
なんでそんなことわざわざ宣言してくるのかよく分からなくて首を傾げたけど、すぐに慧の意図するところを察した。たぶん……アレだよね。
「それまで、付き合ってくれますよね?
さっきのは俺の気持ちが昂ってたせいで早過ぎたし、雑過ぎたし、花音先輩のこともあんまり気持ち良くしてあげられなかったので。挽回させてください」
やっぱりそうなるよね。
さっきのも嬉しかったし、十分気持ち良かったし、私は満足してるんだけどな。それを伝えたところで、たぶん慧は納得しないんだろうけど。
明日からカナダ行くならしっかり寝た方が良いと思うんだけど、この感じじゃそんな選択肢は最初からありそうもない。
「せっかく下着はいたのに申し訳ないんですけど、二回目していいですよね」
「二回と言わずに何回でも」
「さすが花音先輩」
口元に笑みを浮かべて慧の首に手を回すと、そのまま抱き上げられてベッドに連れていかれた。
こんな私を愛してくれてありがとう、慧。
永遠の愛なんてないのかもしれないし、いつかこの幸せに終わりが来るのかもしれないと思うと、本当は今も怖い。でもね、離れるともっと辛くて、会いたくて仕方なかった。
先のことなんてどうなるか分からないし、もしもいつかこの恋を失って傷つくとしても。それでも、今、慧と一緒にいたいって思うんだ。大好きだよ———。
—完—
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