5、楽しい夜なら問題ないよね?(問題あります)

2/14

175人が本棚に入れています
本棚に追加
/226ページ
「じゃあ、今まで一回も付き合ったことないんだ?」  歌ったりはしゃいだり席移動したりしているうちに、たまたま隣になった藤田くんと話す。私と同じ年で去年からバイトでも見かけた気がするけど、話すのは今日が初めて。  恥ずかしそうに頷く藤田くんが可愛くて、ちょっとだけ母性本能が刺激される。顔もスタイルもそんなに悪くないし、何で彼女出来たことないんだろ? 「女の子に興味ないとか?」 「興味はあるよ。中高とずっと男子校で、大学も理工学部で女子ほとんどいないから」 「出会いがなかったのね。誰か紹介しようか?」 「お願いします」  冗談で言ったんだけど、意外とノリ気? 「ねぇねぇ、王様ゲームやらない?」 「いいねぇ〜!」  紹介出来そうな子いたかなとスマホをスクロールしていると、誰かがそんなことを言い出した。  割り箸にマジックで番号書き始めてる人までいるし、みんな正気?  やったことないけど、王様ゲームってあれでしょ。何番と何番がキスとか、そういうアレ。しかもエスカレートすると舌入れたり。うげ。  いくら私でも、誰彼構わずキスするのはさすがにね。 「私パスで」  そう言った途端、みんなの視線を一身に集めてしまう。 「のんちゃん参加しないんやって」 「え〜」 「花音マジかよ〜」 「からの〜?」  批難するような声を受けた私は、靴を脱いでソファーの上で立ち上がり、マイクを取って口に当てる。
/226ページ

最初のコメントを投稿しよう!

175人が本棚に入れています
本棚に追加