175人が本棚に入れています
本棚に追加
/226ページ
「ベッドいこ」
慧の手を引いて自分からベッドに誘うと、慧はほんのり顔を赤くしつつも戸惑ったような表情をしていて。 純粋で、可愛くて、どうしようもなくイライラする。
「慧のそういう顔大好き」
「どういう顔ですか」
ためらいがちにベッドに乗り上げた慧に抱きつくと、慧はやっぱり困ったような顔をする。いつもクールでほとんど動じない慧でもそんな顔するんだね。
初めての時はみんなそうなるのかな。私の初めての時はどうだったっけ。もう、忘れちゃったな。
「け〜い♡」
「……なに」
甘えるように慧にすり寄ると、慧は私の顔を両手で挟んでキスをしてくれる。
「んふふ、慧のキスだいすき」
唇が離れた瞬間、慧の目を見てにぱぁっと笑うと、慧の目の色が少し変わった気がした。
それを合図にするかのように、慧は私の着ていたリボンブラウスのボタンをひとつひとつ外し、自分もTシャツを脱ぐ。
服を脱がし、私の身体に触れる慧の手がわずかに震えていたことには気がついていたけれど、そこは礼儀として気がついていないフリをしておくことにするね。
でも教えてあげるとか言っちゃったけど、正直教える必要もなかったかも。酔ってるからなのか相性が良いからなのか分からないけど、慧に触られるとこ全部気持ち良い。
「痛くない?」
「んっ……、気持ちいいよ?」
「花音先輩、可愛すぎ。花音先輩が可愛すぎて、もう俺ヤバいです」
「挿れてもいいよ、慧」
「もういいの?」
「うん。あ、ゴムつけてね。そこにあるから」
本棚に置いている小さな白いケースを指さすと、慧も頷いて立ち上がった。ソレをつけて、私の両脚を持ち上げ、慧がナカに入ってくる。
「……っ」
あ……、うそ……。
すごい、気持ち良い……っ。
「大丈夫ですか?」
「きもちいいよ……っ? 慧は? 慧も気持ち良い?」
「うん、俺も。気持ち良いです」
慧の下で片手を伸ばすと、慧もその手をぎゅっと握ってくれた。私の目を優しく見つめて、キスをしてくれる。
そんな目で見ないで、慧。
慧としてると、好きな人に抱かれてるみたいな気持ちになって、涙が出そうになるよ。まるで、あの頃みたいな———。
嫌なことを思い出しそうになり、誤魔化すように慧の背にしがみついた。
最初のコメントを投稿しよう!