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「こんなことで寝てると迷惑になりますよ。起きてください」
ん? そのまま寝落ちしそうになっていると、ぐいっと今までよりも強い力で身体を起こされ、強制的に立たされる。反射的にその人の顔を見ると、呆れたように私を見ている慧と目が合った。
「慧。何でいるの? も〜だぁいすき♡」
「はいはい。帰りますよ」
ふにゃっと笑いかけ慧に抱きつくと、しっかりと抱き返される。
「え〜何? 誰〜? のんちゃんの彼氏?」
「彼氏かっこいいじゃん」
「その子泥酔してるみたいだけど大丈夫?」
「ありがとうございました。この人は俺が連れて帰ります」
慧はみんなから色々言われてたみたいだけど、質問には答えずに頭を下げる。それから、私を背中に乗せて歩き出した。
無言で歩き始めた慧の大きな背中にもたれかかり、首にぎゅっと手を回す。
「ねぇねぇねぇ、何でいるの?」
「何ででしょうね」
「もしかして迎えに来てくれたの?」
「……そうかもしれないですね」
「やっさし〜♡ ありがと♡」
ちゅっと後ろからほっぺにキスをしたけど、当の慧は無反応。色々話しかけてみたけど答えてくれなくなっちゃったので、私も慧に話しかけるのを諦めることにした。
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