5、楽しい夜なら問題ないよね?(問題あります)

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「一限あるんで、そろそろ行きますね」  謝罪の言葉を考えているうちに声をかけられ、パッと上を向く。  本棚に置いてある時計を見ると、もう9時過ぎ。一限は9時半からだから、今から行ってギリギリってとこかな。途中で帰ることも出来たはずなのに、私が起きるまで居てくれたってことだよね……。 「何から何までありがとう……、ございます。 昨日も迎えに来てくれてありがとう。慧が来てくれなかったら、今頃路上で寝てたかも」  さすがに色々と申し訳なく思い、頭を下げる。 「……いえ。特にやることもなかったんで」 「ううん、本当にありがとう。助かりました」  眉を下げて両手を合わせると、慧は私の顔をじっと見つめながら一歩距離をつけた。 「もういいです。それより、しばらく酒は控えた方がいいんじゃないんですか」 「そうなんだけどね〜。嫌なことがあるとついつい飲んじゃうんだよね」  たぶん心配してくれてるんだと思うけど、その忠告は守れそうになかったので笑ってごまかす。 「そんなにストレスたまってるんですか?」 「まあね。生きてると色々あるよね。慧もそうでしょ」 「そうですね。花音先輩のこととか」 「あ〜……」 「冗談です」 「今の、冗談じゃなかったよね」  真顔で言われても全く冗談だと思えないんだけど。苦笑いを零したけど、慧は私の質問には答えてくれなかった。 「それなら、今度飲む時は俺も誘ってください」  代わりにそんなことを言われ、予想外な発言に一瞬反応が遅れてしまう。 「でも慧は飲まないよね?」 「飲まないけど、俺がいた方が男と変な雰囲気にならなくてすむでしょ」 「え〜と、それは———」 「どうせ夜は暇してるんで、夜中でも呼び出してもらって大丈夫です。バイト終わった後ならいつでもいけるんで」  さすがにそれは彼氏でもないのに申し訳ないよ、と言おうとしたけど、私が口を開く前に慧はさらに言葉を続ける。
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