6、今のままが一番良いんです

2/8

176人が本棚に入れています
本棚に追加
/226ページ
「明日大丈夫ですか?」  にんにくラーメンを頼んだ上に、テーブルの上に置いてあったにんにくをそれにどっさり入れると、正面にいた慧が嫌そうに顔をしかめる。 「うん、明日は何も予定ないんだ〜」 「口が臭くなりますよ」 「ん〜……あ、じゃあさ、慧もにんにく入れたらいいじゃん。そしたら匂い気にならないでしょ」 「やめろって」  承諾も得ずに慧の醤油ラーメンにもどさっとにんにくを入れると、慧は慌てて手を伸ばす。止めようとしても、もう入れちゃったけどね。 「先輩は予定ないかもしれませんが、俺は夕方からバイトあるんですよ」 「え、ごめん。でも夕方からなら、さすがに匂い消えるでしょ。モウマンタイ♡」 「問題ありだよ」  笑ってごまかすと、慧はため息をついてにんにく入りのラーメンを食べ始めた。  * 「おいしかった〜楽しかった〜。はぁ〜話足りないな〜」  ラーメンを食べ終わって外に出て、慧の腕に自分の腕を絡ませて夜道を歩く。  もう23時近いからそこまで混んでなかったけど、ラーメン屋でそんなに長居出来ないもんね。まだまだ話したかったけど、食べ終わったらすぐに出てきちゃった。   「家来ます?」 「いいの? やったぁ」  露骨に残念がっていると慧が誘ってくれたので、満面の笑みで慧に抱きつく。 「歩きにくいから離れて」  そんなことを言いながらも、慧も私から離れようとはしない。 「照れてるの〜? 可愛い♡」 「は?」    顔を覗きこむと慧はぷいっと視線をそらしたけど、その頬はわずかに赤くなっている。  いいなぁ、この反応。ピュアで羨ましい。私もこの頃に戻りたいなぁ。
/226ページ

最初のコメントを投稿しよう!

176人が本棚に入れています
本棚に追加