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「うん。慧なら、性格も良くて可愛い彼女がすぐに出来ると思う」
無理矢理笑顔を作ると、慧は何かを言いたそうに口を開きかけたけど、結局何も言わずに唇を噛み締める。
ごめんね、慧。
慧に彼女が出来るまでは今のままの関係でいたいけど、慧が望んでくれるような関係になることが出来ないのなら、今すぐに二人で会ったりすることもやめるべきなのかな。この関係を手放すべきなのかな。
「あのね、慧、」
何も言わなくなってしまった慧に言葉をかけたかったけど、何も言葉が見つからない。しばらく二人とも無言で気まずい時間が流れたけど、意外にも先に口を開いたのは慧の方だった。
「……さっき俺が言ったことは気にしないでください。ちょっと言ってみただけで、深い意味はなかったんです」
「そ、そうなんだ」
とてもそうは思えないけど、重々しい口調でそう言った慧に一応頷いておく。
「それより、ゲームでもしませんか?」
「する〜!」
雰囲気を変えようとしてくれてるのかな。
ゲーム機を引っ張り出してきた慧に私も精一杯の笑顔を作る。
私は、慧に酷いことばかりしてるよね。
でもね、どうすれば正解なのか分からないの———。
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