7、はぐらかすのやめてもらってもいいですか

1/9

176人が本棚に入れています
本棚に追加
/226ページ

7、はぐらかすのやめてもらってもいいですか

 七月第二週、金曜日。  「サークル終わった後、花音の家でいいよね?」 「うち?」  大学のコンビニで買ったお弁当を部室で食べていると、今日のサークル終わった後の予定を聞かれて固まってしまう。  そういえば今日二年だけで飲もうって言ってたよね。でもな〜……私の部屋かぁ……。 「うん。何? 今日予定ないんだよね?」 「あ〜でも……や、いいよ、うん」 「よしっ。じゃ、花音の家ってことで決定〜!!」 「楽しみ〜」  口では楽しみと言いながらも、内心めちゃめちゃ焦ってる。私の部屋で飲むと思ってなかったから、部屋の片付けしてないんだよね。  どうする? 一限か二限サボって片付ける? ん〜どっちも必修だし、サボれないよね。  一花に片付け頼む? って、一花も一限と二限被ってるから無理じゃん。  今から断るか、それか正直に言って汚い部屋を晒すか。……うぅ、どっちも無理〜。  一限まであとちょっとしかないし、今から帰ってサークルまでに片付けるのも無理だよね。帰ってる時間もないけど、悠長に部室でくつろいでる気分でもなくなり、衝動的に立ち上がる。 「一限の準備あるから、もう行くね」 「は〜い。また後でね」  食べ終わったお弁当のゴミを片付け、カバンを持って部室から出ていく。 「花音先輩」  部室から出て数歩歩いたところで後ろから呼び止められて振り返ると、そこにいたのは呆れたような顔をしている慧だった。
/226ページ

最初のコメントを投稿しよう!

176人が本棚に入れています
本棚に追加