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「どうせ部屋の片付けしてないんじゃないですか」
「うっ……何で分かったの?」
たぶん部室での話を聞いてたんだよね。
慧から開口一番にそう切り出され、口元を引きつらせてしまった。
「顔見たら分かりますよ。だから、普段から片付けとけって言ったのに」
「反省してます……」
「で? どうするんですか?」
「今から片付けて、一限までに戻ってこようかなと」
「無理でしょ」
真顔で正論を言われてしまえば、返す言葉もない。
「俺が片付けましょうか?」
「えっ。いいの?」
ちょっと落ち込んでたけど、慧から予想外の提案をされ、パッと顔を上げる。
「今日は一限で終わりなので、いいですよ」
「助かる〜。けど、さすがに悪いような」
「じゃあどうするんですか。汚い部屋に他の人入れるんですか」
そう言われて考えてみたけど、マックス汚い状態の部屋は一花と慧ぐらいにしか見せたことないし、やっぱりあの部屋にみんなを入れるのは無理だ、という結論に達した。
「お願いしてもいい、かな?」
「鍵」
右手を差し出されたので、カバンから家の鍵を取り出し、慧の手に乗せる。
「はい。今度おごるね」
「回転寿司で手を打ちます」
「うんっ。何でも頼んじゃって。ほんとにありがとう」
部室に戻っていく慧の後ろ姿にお礼を言うと、慧は軽く手を上げて部室に戻っていく。
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