8、彼氏(仮)になってくれませんか?

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 翌日の木曜日、バイトが終わってからそのまま勤務先のスーパーで小さなショートケーキを買って、メッセージを送ってから慧のアパートに向かう。  チャイムを押すとすぐに出てくれた慧に、にっこりと笑いかける。 「何してた?」 「さっきまで友達と遊んでて、今帰ってきたとこです」 「あ、そうなんだ。じゃあ、これはもういらないかな」  つい勢いできちゃったけど、彼女がいなくても誕生日に遊ぶ友達くらいはいるよね。ケーキももう食べたかもしれないし。  買ってきたケーキの袋を掲げて眉を下げると、「入ってください」と慧がドアを大きく開けてくれた。  * 「覚えてくれてたんですね」 「誕生日?」  テーブルの上で私が買ってきたショートケーキを食べながら、ふいに言われた言葉を尋ね返すと、無言で頷かれる。 「もちろん覚えてるよ〜。19歳の誕生日おめでとう!」  カバンから誕生日プレゼントを取り出し、笑顔でそれを手渡す。慧はそれを受け取ってはくれたけど、真顔のまま。 「開けてもいいですか」 「うん」  慧から聞かれたことに了承すると、慧は封を破って中身を出したけれど、それに対して何も言ってくれない。  う〜ん。もしかして迷惑だった? やっぱり彼女でもないのにアクセサリーはやめといた方が良かったかな。
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