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「あの、なんかごめんね。何がほしいのか分からなくて。いらなかったら捨ててもいいからね」
この空気をどうにかしようとそんなことを言ってみると、慧はこちらの方をバッと振り返る。
「違います、そうじゃないです。
正直祝ってもらえると思ってなかったから、驚いただけです。……嬉しいです。大切にします」
「そう? 良かった〜。慧がよくつけてるピアス、元カノからのプレゼントとかだったらどうしよかと」
早口で言われた言葉にホッとして、冗談も混じえてみたら、また嫌そうな顔をされてしまった。
「さすがに元カノからもらったものをいつまでもつけてませんよ」
「そうなの?」
「先輩は元彼からもらったものも気にせず使う人ですか」
「どうだろ。ものによるかなぁ」
質問に質問で返されてしまい、どうかなと考えてみる。
アクセサリーとか身につけるものだったらさすがに使いづらいかな。でもそうじゃなかったら案外いけるかも。
そこまで考えて、慧の視線が私のネックレスに注がれていることに気がついた。
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