176人が本棚に入れています
本棚に追加
「これはね、元彼からのプレゼントじゃないよ。昨日バイト先の人にもらったの」
首元のネックレスに触れ、苦笑いを浮かべる。
「彼氏出来たんですか?」
「ううん、彼氏じゃない……と、思うんだけどね」
「思う?」
「なんかね、誕生日でも何でもないのに突然くれたんだよね。たぶんこれすごく高いと思うんだけど。ただの友達にも普通にあげたりするものなのかな?」
なんとなく声をひそめると、慧も驚いたように眉をひそめた。
「普通ではないですよね」
「やっぱりそう思う?」
「それ、相手はもう付き合ってるつもりなんじゃないですか」
「えー。でも数回しか遊んでないし、そんな感じでもなかったけどなぁ」
「どうせ思わせぶりな態度でもとってたんじゃないですか」
むぅと口を尖らすと、冷めた視線を送られてしまう。はっきりと否定は出来ないけどさ、でもそんな誰彼構わず思わせぶりなことしてない……はず。
「ねぇ、けっこうひどいよね」
何気なく慧の腕に触れると、その腕を慧に掴まれた。掴まれた腕を引かれ、ぐっと引き寄せられて、反射的に目を瞑る。
最初のコメントを投稿しよう!