8、彼氏(仮)になってくれませんか?

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「だからキスが合わなかった人とは付き合わないし、えっちもしないようにしてる」  きっぱり言い切ると、呆れたような目で見られてしまう。でもさ、最初から良くないって分かってるのにわざわざ特攻する必要ある? 「付き合う基準そこかよ」 「大事なことだよ。いくら一緒にいて楽しくても、身体の相性が合わなかったらお互い辛くなるじゃん」 「まあ。悪いよりは良い方がいいかもしれないですね」 「でしょ〜?」  勝ち誇ったように笑みを浮かべると、慧と目が合って、じっとこちらを見つめてくる。 「じゃあ俺はどうだったんですか。キスは良かったんですか?」 「良かったよ。キスも良かったし、えっちも良かった」 「そうだったんですか? てっきり俺が下手だったから、あんなこと言われたのかと思ってました」 「そんなこと思ってたの? なんかごめんね。そういうことじゃなかったんだ。さすがにあれが初めてってのは申し訳なくて、忘れた方が慧のためになるんじゃないかと思っただけ」    結局はそういう私の対応が良くなかったから、慧を怒らせることになったんだと思うけど。 「えっちは全然下手じゃなかったよ。むしろ今までで一番良かった……かも」  慣れてないんだろうなってのは伝わってきたけど、でも逆におかしな方向に自信つけて変なことされないから良かったし、たぶん相性が良いのかも。
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