8、彼氏(仮)になってくれませんか?

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「それ本当ですか?」 「え?」 「今までで一番良かったって」 「……うん」  聞かれたことに頷くと、私の頬に慧の手が置かれたので、目を閉じる。目を閉じると、しばらくして唇が重なった。目を閉じたまま唇を薄く開けると、隙間から慧の舌が入ってくる。 「……んっ……」  小さく声を漏らすと、慧の手が私の胸に触れる。 「今日はしないんじゃなかったの?」  目を開けていたずらっぽく笑うと、何も言わずに抱き寄せられた。 「気が変わりました」 「そうなんだ。———いいよ?」  ぎゅっと身体を密着させて慧の首に手を回すと、そのまま抱き上げられてベッドに沈められ、その上から慧が私に覆い被さってくる。 「花音先輩」 「ん?」 「好きです」    真剣な目で見つめられ、心臓が鷲掴みにされたみたいに苦しくなる。やっぱり、慧のこの目が苦手だな。  慣れてるはずなのに、純粋なわけでもないのに。それでも慧に見つめられると、どうしたらいいのか分からなくなる。どうやって息をしたらいいのかも分からなくなるの。
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