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「それ本当ですか?」
「え?」
「今までで一番良かったって」
「……うん」
聞かれたことに頷くと、私の頬に慧の手が置かれたので、目を閉じる。目を閉じると、しばらくして唇が重なった。目を閉じたまま唇を薄く開けると、隙間から慧の舌が入ってくる。
「……んっ……」
小さく声を漏らすと、慧の手が私の胸に触れる。
「今日はしないんじゃなかったの?」
目を開けていたずらっぽく笑うと、何も言わずに抱き寄せられた。
「気が変わりました」
「そうなんだ。———いいよ?」
ぎゅっと身体を密着させて慧の首に手を回すと、そのまま抱き上げられてベッドに沈められ、その上から慧が私に覆い被さってくる。
「花音先輩」
「ん?」
「好きです」
真剣な目で見つめられ、心臓が鷲掴みにされたみたいに苦しくなる。やっぱり、慧のこの目が苦手だな。
慣れてるはずなのに、純粋なわけでもないのに。それでも慧に見つめられると、どうしたらいいのか分からなくなる。どうやって息をしたらいいのかも分からなくなるの。
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