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「私、松尾先輩と別れたんだ」
何を言うべきか迷っていると、ボソリと呟かれた一言に驚いて一花の方をバッと見る。
「今度は何でよ」
「いつものアレじゃなくて。本気で別れたの。
お互いに連絡先も消して、もう会わないようにしようってなった」
「え? 本当に?」
言われたことが信じられなくて、ベッドの上から一花の顔をマジマジと見つめると、一花はこくりと頷く。
「大丈夫なの?」
「かなりキツい。今も会いたいし。
でも、このままじゃ良くないなって思ったんだ」
「そっかぁ……、そうだよね」
「うん、ほんとはさ、もうとっくに終わってるって分かってたんだよね。もっと前から終わってたんだよ、私たち。それを認めたくなくて、粘ってただけ」
「……うん」
「もういい加減前に進まなきゃダメかなって。
今はまだ辛いけど、また新しい恋だってするつもりだよ。出来るか分からないけど、そうしたいって思ってる」
「一花は強いね」
「のんは? どうするの?」
布団の上にいる一花から見つめられ、返答に困って視線を泳がす。
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