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「慧のこといっぱい傷つけたし、何回も怒らせといて、いまさら信じられないかもしれないけど、慧のことが好きだってやっと気づいたの。慧と一緒にいたい。慧の彼女になりたいの。
もう一度、私にチャンスをくれませんか?」
正直な気持ちを告白すると、慧は戸惑っているみたいだった。
「……もう他の男としないで」
「うん、しない」
しばらくの間慧は黙り込んでいたけれど、ようやく発せられた慧の言葉にすぐに頷く。
「キスもですよ?」
「うん、慧としかしない」
「信じてもいいんですか」
「信じられない?」
「……分かりました、信じます」
「じゃあ、私たち———」
「付き合いましょう。俺の彼女になってください」
うん、と答える前に腕を引き寄せられ、唇を重ねられる。いったん唇を離したあと、もう一度顔を近づけてきた慧の背に手を回そうとしたけれど。誰かが階段を降りてくる音がして、慌てて身体を離す。
「またサークル終わった後で。デートしましょう」
「う、うん」
それだけ小声で囁くと、慧は階段を降りていく。
案外あっさり受け入れてくれたけど、デート、かぁ。
慧とは何回もご飯行ってるしお互いの家にも行ったことあるし、キスもしたことあるし、何ならえっちまでしちゃってるんだけど。わざわざデートって強調されると、本当に付き合うことになったんだなって感じがする。
なんか急に実感が湧いてきて、今さらドキドキしてきたんだけど、どうしよう。
今さらながらに緊張してきた私は、後から来たサークルの子に声をかけられるまで、その場で立ち尽くしてしまっていた。
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