10、もう一度チャンスをください

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「慧のこといっぱい傷つけたし、何回も怒らせといて、いまさら信じられないかもしれないけど、慧のことが好きだってやっと気づいたの。慧と一緒にいたい。慧の彼女になりたいの。 もう一度、私にチャンスをくれませんか?」  正直な気持ちを告白すると、慧は戸惑っているみたいだった。 「……もう他の男としないで」 「うん、しない」  しばらくの間慧は黙り込んでいたけれど、ようやく発せられた慧の言葉にすぐに頷く。 「キスもですよ?」 「うん、慧としかしない」 「信じてもいいんですか」 「信じられない?」 「……分かりました、信じます」 「じゃあ、私たち———」 「付き合いましょう。俺の彼女になってください」  うん、と答える前に腕を引き寄せられ、唇を重ねられる。いったん唇を離したあと、もう一度顔を近づけてきた慧の背に手を回そうとしたけれど。誰かが階段を降りてくる音がして、慌てて身体を離す。 「またサークル終わった後で。デートしましょう」 「う、うん」  それだけ小声で囁くと、慧は階段を降りていく。  案外あっさり受け入れてくれたけど、デート、かぁ。    慧とは何回もご飯行ってるしお互いの家にも行ったことあるし、キスもしたことあるし、何ならえっちまでしちゃってるんだけど。わざわざデートって強調されると、本当に付き合うことになったんだなって感じがする。  なんか急に実感が湧いてきて、今さらドキドキしてきたんだけど、どうしよう。  今さらながらに緊張してきた私は、後から来たサークルの子に声をかけられるまで、その場で立ち尽くしてしまっていた。
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