2、はい、私が害悪女です

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「はあぁ!? それじゃ、慧としちゃったの!?」  学食で夕ごはんを食べながら一花に昨夜のことを話すと、一花は予想以上に驚いてくれた。 「ちょっと、声大きいってば」  しーっと唇に人差し指を当てると、一花も辺りを見回して声をひそめる。 「なんでそうなるかなぁ。これ以上同じサークルの男に手を出すなって、あれほど言ったのに」  一花は箸を置き、大げさにため息をつく。  まつ毛バシバシの派手なメイクに露出の多い服、限界まで色を抜いた金髪。一年の時に初めて一花と会った時は、私とはタイプ違うし、絶対にこの子と仲良くなることはないなって思ってたな。  でも話してみたら意外と気が合って、いつのまにか親友と呼べるくらいの仲になっていたんだ。めちゃめちゃいい子で、いつも自分のことみたいに私の心配をしてくれる。 「ごめんね。つい流れで♡」 「はぁ、もう……。そんなんだから、名人なんて呼ばれるんだよ?」  てへ♡と愛想笑いを浮かべると、またまた呆れたようにため息をつかれてしまった。 「だよね〜」 「本当に分かってるの? アンタと色々あったせいで、何人もサークル辞めてるからね。ゆっきー先輩、学、それから恩田先輩……」  一花は新しい順にサークル内での私の男性遍歴を指折り数えていったけど、恩田先輩の名前が出た途端に顔を曇らせた私を見て、ハッとしたように口をつぐむ。  もう恩田先輩と別れてから半年以上は過ぎてるのに、やっぱり恩田先輩の名前を聞くと今も辛いな。忘れなきゃいけないのにね。 「……ごめん」 「ううん、気にしないで。私もいい加減慣れなくちゃいけないから」  気まずそうな顔で謝ってくれた一花にブンブンと首を横に振ると、一花は辛そうに唇を噛み締める。  やだな、一花まで辛そうな顔しないでよ。  私まで切ない気持ちになっちゃうじゃん。
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