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「バイトの人、あれから大丈夫ですか?」
注文したハンバーグランチをノソノソと食べていた時にふいに話しかけられ、顔をあげる。
「藤田くん?」
「たぶんその人」
「特に何も言ってこないよ。見かけたら多少話したりはするけど、あれからご飯も誘われてないし」
「それならいいんですけど。何かあったらすぐに言ってください」
「うん、ありがとう」
「それと……」
笑顔でお礼を言うと、慧は口を開きかけたけど、言いにくそうに口ごもった。何?また私何かやらかした?
「気をつけてくださいね。一人の時に男を家に入れたり、変な男と二人きりにならないでください。男友達と遊びに行くなら、仕方ないですけど」
「さすがに家に男は入れないけど、私が男友達と二人で遊びに行ったら慧は嫌?」
「嫌ですね。そこまで束縛出来ませんし、行きたいならいいですけど、行く時は連絡してくださいね」
きっぱり嫌だと言い切った後に、条件付きで行ってもいいと付け加えられ、思わず苦笑いを浮かべる。それさぁ、「今から男の子と二人で遊んでくるね」って言われた方が逆に嫌じゃない?
そういえば、慧は彼女出来たら他の女の子とは二人で遊ばないって言ってたっけ。
「慧が嫌なら行かない」
「え?」
「だって、私信用ないでしょ?
一応言っておくけど、浮気はしないよ。でもいくら私がそう言ったところで、これまでがこれまでだもんね。私が男友達と二人で遊んでたら、何してるか不安じゃない?」
超ガードゆるいし、誰とでもヤる女って言われても否定出来ないけど、一応これでも彼氏がいる時は一回も浮気はしたことない。てか、浮気する前に振られるし。
でもまあ、あれだけ慧と色々あって、浮気しないよ〜慧だけだよ〜って口で言ったところで信用出来ないだろうし。疑わしい行動はしないに限る。
一瞬うつむいて何かを考えていた慧と目が合ったので、そのまま彼の言葉を待つ。
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