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「聞きたいことあるんだけどいい?」
ご飯を食べてからすぐに私の家に来て、それからしばらくくつろいでいたけれど、気になっていたことを聞いてみたくなって慧に話しかける。
「どうぞ」
「あのね、慧は私のどこら辺が良かったのかなって」
慧が私のことを好きでいてくれてるのは少し前から気づいてたけど、私の何がそこまで良かったのか分からない。顔と胸?
まあヤッちゃったからなんとなく好きになっちゃうこともあるかもしれないけど、それにしてもあれだけのことがあっても愛想つかさずにいられるのは素直に尊敬する。私だったら、同じことされたらとっくに嫌になってそうだし。
上目遣いで慧を見つめると、慧は私を見つめ返した後に口を開く。
「今思えば、初めて会った時に一目惚れしたのかもしれません」
「初めて会った時って、慧たちの入学式の日? たしかサークルの勧誘で慧に話しかけたんだよね」
「うん。その時は俺も彼女いたし、あんまり考えないようにしてたけど。
仲の良い先輩だって思うようにしてたけど、花音先輩を抱いた日にやっぱり好きだなって思いました。誰にも渡したくないと思ったんです。まあそのあと色々な意味でこの人ひどいなと思ったんですけど、なんか放っておけなくて、結局嫌いになれませんでした」
「なるほど……」
「どこが好きなのかって言われたら、外見とか声とか笑った顔とか年下とも気さくに接してくれるとことか危なっかしくて放っておけないとことかたくさん出てくるんですけど。でもなんていうか、そういうのじゃない気がするんです。
自分でも何でこんなに好きなのか分からないんですけど、とにかく花音先輩のことが好きなんです」
「そ、うなんだ」
至近距離でじっと見つめられ、目を合わせていられなくなってうつむく。よく分からないけど、私のことをすっごく好きでいてくれることは伝わってきた。
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