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キスされる、そう気づいた私はとっさに顔を背けてしまった。もう一度キスしようとしてきたのも避けると、不満そうな顔をした慧と目が合う。
「何で避けるんですか」
「緊張しちゃって」
てへ、と愛想笑いを浮かべると、慧はますます不満そうな顔で私を見る。
「また? 今さらじゃないですか」
「今さらなんだけど! 今さらなんだけどさ、なんかダメなんだよ。おかしいと思うかもしれないけど、友達の時は普通にキス出来たんだよ? でも、ダメなの。今目の前にいる人は私の彼氏で、私の好きな人なんだって思うと、なんか……」
もうダメ。何言ってるか分からないし、この状況がほんとムリ。彼氏とキスって、どうやってするんだっけ。
恩田先輩と別れてからはなんとなく付き合って、時には付き合わずにえっちしたりってことばっかり繰り返してたから、こういう甘い時間は久しぶりでどうしたらいいのか……。
「花音先輩でもそんな風になるんですね。まさかそんな可愛いこと言ってもらえるなんて思ってもみませんでした」
そんな言葉と共に、うつむいてる私の頭にポンと慧の手が乗せられる。うぅ……、絶対顔上げられない。
顔を真っ赤にしてうつむいている私の頭を慧はずっとヨシヨシしてくれていたけれど、しばらくして顔を上にあげさせられ、両腕を掴まれる。
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