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テンションMAXでみんな興奮していて、注意が疎かになっていたんだろうね。
車を運転していた人がハンドル操作を誤り対向車線に飛び出してしまうまでは、きっと楽しい時間だったことだろう。
「……そうやって聞くと、俺ってほんとバカだったね」
「ふっ、今頃気付いたの? バカっていうか、最低だよ」
「……ごめん」
「しかもあれから毎年この時期になるとお風呂場に現れると来た」
現世を離れた人が帰ってくると言われているこの時期に。
私は彼とお風呂場で再会する。
「……ごめん」
「いっつも思うけど、何でお風呂なの?」
「……お風呂が好きだから」
「何だそりゃ」
裸で彼の前にいても、もう触れられないのに。触れてもらえないのに。
彼は普通に会いに来てくれない。
私の都合も考えず、自分勝手に会いに来る。
最初に帰ってきた時も、そうだった。
どうしても思い出しては泣いてしまい、シャワーと共に涙を流していたら
『なーに、泣いてんの?』って、軽い口調で。浴槽の縁に肘を乗せて彼が笑っていた。
「本当に、あんたは勝手だね。自分のやりたいようにやって、私のことは二の次」
「……うん」
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