ラボの悲劇

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ラボの悲劇

ドニたちは二つに分かれた道を右に曲がっていった。 みゆはガラちゃんの案内で、左に曲がる。 「アデラールのラボは、もうすぐよ」 「ラボって、研究所のこと?」 「うん、自宅兼研究所だよ。前の女王様と一緒に、ガラちゃんは何度も行ったことあるもん」 「へーいいなー!ガラちゃんとアデラールは仲良しなんだね」 「うん、ガラちゃんもアデラールのこと大好きだよ。怒られるから女王様がいない時を見計らって、アデラールはガラちゃんに地上の事も色々教えてくれたの」 「ああそうか、だからあの時ガラちゃんは、地上の人の気持ちって、ノエルに言ってくれたんだね」 「うん!だからみゆの困っている気持ちが、すぐにわかったよ」 みゆとガラちゃんが陽気に話しながら道を歩いていると、前方に背の高い建物が見えてきた。 「あ、あれがラボのはずだけど、なんか変だね」 「あの建物、真っ黒になって壊れていない?」 みゆたちは建物に近づくにつれて、その異様な姿に怖くなってきた。 アデラールのラボは火事になったのか、真っ黒に煤けて大半が焼け焦げていたのだ。 「ここは戦争でこんなに焼けちゃったの!?」 「違うよ、こんなところまで敵は来なかったもん。この火事はきっと、女王様がやったんだよ」 「なんでそんなひどいことを?」 みゆはガラちゃんの推測に、恐ろしくて思わず絶句する。 「アデラールはね、少年天才錬金術師としてずっと女王様に仕えていたの。だけどアデラールは先々代の王様と地上の人間のお母さんとの間に生まれた王子様だって、女王様は知ってた。だからいつかアデラールが自分の地位を脅かすんじゃないかって、ずっと心配してて……。女王様は自分の保身ためにアデラールに反逆の濡れ衣を着せてラボに火をつけて暗殺したのよ。ガラちゃんが知らないうちに!」 ガラちゃんはとても悔しそうだった。その証拠に彼女の声は怒りに満ちて震えていた。 「とにかく建物の中に入ってみようガラちゃん。まだ、あの男の子が死んだって決まったわけじゃないもの。もし無事にラボから逃げていたら、何か手がかりがあるかもしれない」 「そうだね、行こう!みゆ!」 「うん!」 みゆは怖さを押し殺して、震える足で壊れたラボの玄関に一歩踏み込んだ。 だがその頃、ラボの地下では何かが目覚めようしていた。
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