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お城の来客
「お帰りなさいませ、女王陛下。おや、その男の子は?」
白衣姿の小さな男の子の手を引き、お城に戻ってきたみゆに、ノエルは不思議そうに尋ねる。
「ただいま、ノエル。この男の子はアベルっていうの。今日からこのお城に住むことになったから、ノエルも仲良くしてね!」
「は?では、この少年は陛下の新しいペットですか?」
「なんで人間がペットなのよ!?違うよ!私とガラちゃんの新しいお友達だってば!」
「さようでございますか、これはまことに失礼いたしました。ではアベル様、さっそくお召し替えをいたしましょうか?もうすぐお昼ですから昼食のご用意もいたしましょう。そうそう、お昼といえば陛下にお客様でございます」
「え?私に?誰?」
「もうすぐ昼食の時間なのでお断りしたのですが。女王様に命を助けられたお礼をぜひ申し上げたいと、老人と少年が陛下のお帰りを何時間でも待つと言って聞きませんでして……」
「さっきのおじいさんと、ドニだ!今、どこにいるの?」
「謁見の間でございます。案内させます」
ノエルは、ちょうど廊下を歩いてきた侍女に、みゆを謁見の間に案内するように命じた。
「それじゃあ、アベルをお願いね。アベル、この侍従のお兄さんについていけばいいからね。私はちょっと人に会う用事があるから、そのあとで一緒にお昼ご飯にしようね」
みゆがそう話すと、アベルは緊張気味にうなずいた。
みゆはノエルにアベルの世話を頼むと、侍女に案内されて謁見の間に向かった。
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