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あれ?
枯れていくシクラメンに水をやるという、新たな日課はちゃんと続いた。
シクラメンはそのうち枯れきって、暴風が吹き荒れたある日、無くなった。
しかし、彩弓は母親に頼んで鉢をそのまま捨てないでもらった。別れがたくなっていたのだ。
見た目、土だけになったシクラメンの鉢の受け皿に、今朝も水を注いだ。水はいつもすう~っと、鉢の底の穴から土に吸い上げられていく。彩弓にはそれが、水を飲んでいるように見えるのだ。
かわいい、シクラメンの鉢。
飲むんだから、あげなきゃね。
ちょっと、ままごとみたいな気分でもあった。
そんなある日のことだった。
いつものようにシクラメンに水をあげた彩弓は、
「あれっ?」
思わず声に出して驚いた。
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