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 有紗は生まれてこの方、両親に逆らった記憶はなかった。幼い頃は別にしても、有紗は、両親の幸せな顔を見るのが何よりの喜びだった。もし自分が両親を悲しませるようなことがあるなら、それは自分の存在を否定しまうのではないか? そんな強迫観念にも似た気持ちで、小中高と人々が羨む理想の人生を歩み、両親に至福の幸せを届けたことを、有紗は生き甲斐にしていた。そして、高校の恩師たちの期待を背負い、東京の一流大学にも見事合格を果たし、新たな人生を歩み始めた矢先、創と再会した。
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