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有紗は何も言えないかわりに、自分のスマホを創の前へ差し出した。
創は一瞬、怪訝な表情を覗かせたが、その数秒後、天使の微笑みは消え去り、顔色はみるみるうちに土気色へ変わっていったように有紗には思えた。天使を殺してしまった。私自身の手で――。有紗は最早骸となり果てた天使を凝視した。
「これは……。いったいどういうことだい? 冗談にしては趣味が悪すぎる」
「冗談じゃありません。私、冗談なんて言えません」
困惑している創は、力なく微笑みを浮かべるけれど、生気のない顔からはもう、光り輝くオーラは微塵も発せられなかった。
「じゃあ僕は……、愛する人と無二の親友に裏切られ、失った人になるのかな? 哀れな」
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